南部鉄器 及源 OIGEN の鉄瓶

鉄瓶の中に景色ができます。

南部鉄器 OIGEN の鉄瓶

きっかけは
アラジン BLUE FLAME HEATER でお湯を沸かしてお茶を飲みたかったから。
鉄分も採れて一石二鳥です。

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千草    品番H-154

岩手県奥州市で作られている南部鉄器です。及源鋳造製

実用的な鉄器です。
おそらく、金型による製造だと思います。

鋳造というと
子供のころのベーゴマ。(埼玉の川口市が有名)
それから、学生の時に機械工学だったので
砂型を作成する際の手籠めや、中子という砂型を組み込んで空間を作ったりしたのが思い出されます。
実習なのでさすがにアルミ鋳造でしたが。

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いい鉄瓶は弦(つると読む、取っ手の部分)が中空に作ってあります。
金槌で叩いて一枚の板から弦をつくります。
中空だとそこで放熱されるので、弦の上部は素手で握れます。
この鉄瓶の弦はというと、素手で持つとやけどします。

この鉄瓶は内、外ともにカシューナッツを原料とした無害のカシュー塗料で処理されています。
光を吸収する肌で、落ち着きのある艶なしです。
いい鉄瓶はというと内側は温度管理で四酸化三鉄(黒さび)の被膜を形成することで錆止めとし、塗装はしないようですが、
外側は塗装していることが多いようです。

中がホーロー加工のものは鉄瓶ではなく、急須かもしれません。
直火にかけられるか注意が必要です。

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注意点
(石油ストーブの場合は 火にかける=天板に置く です。念のため)
・最初のうちは、カシュー塗料の臭いがしますが、いつからかしなくなります。
・空焚きをしない。万一やってしまっても冷めるのを待つ。熱いまま中に水を入れない。(歪んで割れます。)
ガスだと、真っ赤になって歪むくらい火力があるそうです。
・水をいれすぎない。沸騰したときに注ぎ口から溢れることがある。
・火にかける際は蓋を少しずらしておく、ここから水蒸気が逃げることで注ぎ口から溢れない。
・使いおわったら、蓋、鉄瓶ともにしばらく温めて水滴を飛ばす。
・一時でも使わない時はお湯を入れたままにしない。(火にかけているならOK)
・外側に錆が出たら(出なくても)鉄瓶が熱い時にお茶パックでペシペシするとタンニンが被膜を作ってくれる。
ちなみに刀の鍔(つば)なんかもお茶で煮て錆止めと色合いを出しています。
・内側には触らない。洗わない、せっかく付いた湯垢が取れてしまうので。 濯ぐ程度で必ず熱して水を飛ばす。

・出所のわからない安い鉄瓶は中国製であることが多い。(重金属大丈夫か?)

説明書によれば、この鉄瓶は200V IHでの使用で底面の変形をおこす可能性があるそうです、
底面を厚くして対応されたものもラインナップされています。

1シーズン使ってみて

カシュー塗料はあまり強力ではないようで、すぐに赤錆が出始めました。
味に違いはない(むしろ購入時より良い)ので気にせず使っていますが、
あまり赤さびが進んでもいけないので、何か方法がないか調査しました。

湯垢とは

湯垢といわれているものの成分はカルシウム、マグネシウムなどのミネラルであると一般に言われています。
ネットで湯垢がついていても赤錆びが出ている鉄瓶を見るに、
防錆の有効成分について考えました。(水道水は地域で成分が違う。防錆有効成分が湯垢になければ錆びる)

防錆の有効成分

結果いきついたのが亜鉛でした。
船舶だと船底に亜鉛ブロックを取り付けたりしています。
イオン化傾向の高い亜鉛が錆びて、鉄が錆びにくくなるという原理です。
ちなみに、亜鉛は錆びると白くなるので、亜鉛めっき関係では白さびと呼んでいるそうです。

最近、浄水器を使うようになりまして、湯垢の成長は見込めません。
湯垢のために浄水器を使わないというのも、なんなので。
そこで、亜鉛サプリを入れることを思い立ちました。

まず、施工前 鉄瓶の底の景色です。
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析出は乾湿境界線に発生しやすいらしく、鉄瓶においては側面です。
したがって、側面から湯垢が付き始めましたが、底から赤さびが出てしまいました。
近づいて肉眼でよく見ると凹凸やささくれ立って、これはこれで景色として見られます。(茶人の世界(*^_^*))
例えるなら、京都 龍安寺 石庭の壁 で伝わるでしょうか。

そしてこちらが、亜鉛入りの湯を2回ほど沸騰させた後です。
1回につき1カプセルの中身を投入しています。(カプセル部分は入れていません。)

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亜鉛が含まれる水は白くなり、水道水が濁って見える理由の一つだそうです。
沸騰するとより一層白濁していました。

1回目では空になる前に、赤さびの砂鉄のようなものが大量に出ていたので捨てました。
2回目は完全に空になるまで沸騰させました。
(ガスコンロで行う場合は空焚きしないよう要注意です。)

赤さびが大量に取れたので、単に上から付着しているわけではないようです。
お湯を沸騰させて一度捨てた後、飲んでみましたが味は変わりませんでした。
(もともと味に問題はありませんでした。)
茶碗に少し砂鉄が沈んでいたので、まだ錆取りが進行中のように思われます。

その後の経過を追記していこうと思います。(下に追記しました。)

 

追記 2016/12/21
最近1週間くらい使っていなかったのですが、
中に薄く水が溜まっていることに気がつきました。
ちゃんと乾いてから保管していたはずなのですが…。
そして、もともと錆びていた箇所がさらに赤くなってしまいました。

そして気になる点が、
中から出てきた水なのですが、少しドロッとしている感じで
それを捨てても底がテロテロしていました。(すみません写真に残し忘れました。)

亜鉛の吸湿性を疑って調べると
塩化亜鉛は吸湿性が高いことがわかりました。
亜鉛投入前も中は多少白っぽくなっていたので
そこに塩素が大量にあったのかもしれません。
そして塩化亜鉛になった?
そこに暖房、加湿が繰り返されて結露したのではないかと思います。
あと、暖房近くの床に置いてあったのも温度差を生んで
より結露しやすい状況となったのかもしれません。

塩素系は大抵毒性があるので調べると
塩化亜鉛は薬にも使われているようでやはり毒性があります。
あとは化粧品などに使われているようです。
長期に水生生物に与えると影響があるとか
塩化亜鉛は可能性に過ぎないのですが、どうせ中が錆びてしまったので
ゴシゴシ洗浄してお茶でリセットしようと思います。

追記 2017/12/04
亜鉛に塩酸でも入れないと塩化亜鉛には
そう簡単にはならなそうです。

内部は洗わず、乾かしただけで
一年ほどそのままにしました。

内部に水が付くことはありませんでした。
使った後の乾かし忘れだったようです。

でも、亜鉛の独特な臭いが気になったので
ゴシゴシしてリセットしました。(リセットの記事へ)

 

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