デジタルハイトゲージ 自作

練習のつもりで作り始めて早や半年、ようやく完成したのでした。

卓上フライス、卓上旋盤の練習を兼ねてデジタルハイトゲージを自作しました。

D72_9116

ベースはモノタロウのデジタルノギスです。

D72_9110下に敷いてあるのは定盤代わりの強化ガラスです。
ハイトゲージを使うには何らかの定盤が必要になります。

天板がガラスでできた机の引き出しを流用しました。

厚み8mmで最大で0.1mm程度の歪みがありますが、
直径20cm程度の各局所に限れば0.01mm程度の精度があります。
(追記)
0.04mm程度の制度に落ちました。
引っ越しして温度環境が悪くなったからかな?

机の表面とガラスとの接点の影響を受けるので、
なるべく均一に接触させるために固めの厚いウレタンを敷いてます。
測定時はなるべく力を加えないようにしています。

なるべく歪まないよう、使わない時は真っすぐに立てて保管しています。

使う時は鋳物の定盤と同様にオイルをひいてから使っています。

 

さて今回、最も苦労したのは意外なもので
下の写真のバックプレートを固定する小ネジでした。D72_9111

ノギス本来のバックプレート外側に、自作プレートを友締めさせています。
φ2 ピッチ0.8mmの小ネジです。
卓上旋盤で作成したのですが、
材料がバイトに乗り上げたり、押さえがスレッドを壊したりと何度も失敗しました。
DSC_0197苦労してできたネジ…。

スクライバー先端には超硬のスローアウェイチップをロウ付けしました。D72_8835D72_8849

チップのコーティングの上からだと
ロウがはじかれるんじゃないかと思い、
ダイヤモンドヤスリで表面を削ってから銀ロウ付けしました。

D72_8847リューターにダイヤモンドディスクを付けて形を整えました。
この作業では粉を吸わないように防塵ボックス(自作)+掃除機を使いました。D72_8844

本当はもう少し大きい方がいいのですが、実体顕微鏡の下に収まるサイズにしてあります。
この頃の作業場は生活の場と同じだったので、好きに粉塵を出せずに苦労しました。
粉塵が出せるって幸せです。(マスクした方がいいけど)

リューターが回ったままでは手の出し入れが難しく、
また、回転を止めた状態でディスクへの当て方を事前確認したいので
フットスイッチによりリューターと掃除機の電源をON/OFFさせています。
フットスイッチにはパナソニックのまごの手式フットスイッチ(←Amazon)を使っています。

超硬の粉を吸う事なく、万一のディスク破片からも守られるので
かぶりつきで作業できます。

 

ガラス定盤の良い点に今回はじめて気が付きました。
下から触れている箇所が見れるのです。

D72_9109粘性の低い油を極薄くひいて、近づけます。
ミラーを下に入れて目を凝らして見ると油に触れているところがわかります。
(写真ではわかりませんが…)
光明丹で油に少し色を付けたらより見やすくなりそうです。

水平に研磨するのは至難の業なので
左の飛び出た角がやや低くなるように削りました。
(繰り返し精度は測定不能レベルだったので問題はなさそうです。)
被測定材料が柔らかい場合は間に板を挟んで測定する必要があるかもしれません。

 

微動送りの固定部分はちょっぴり趣向を凝らして
偏心カムによる押さえとしました。
ちょっとだけ簡単にロックできます。
ほんとうは極小のネジで十分に固定できるのですが、遊び心です。

D72_9113

写真はカバーを空けたところ

土台の裏側はトースカンなどと同様にえぐりました。
ベストは3点支持だと思いますが
意外にも定盤に置いてカタカタ言わなかったので
このままにしました。
傷を付けないようオイルストーンで入念にさらってあります。

D72_9114

 

D72_9117左の123ブロックを測ってテストすると無事にデジタルノギスと同じ値が出ました。
微動部分のスライドがクリアランスの問題で引っかかりやすく、
手でのスライドはあまりスムーズでありません。
じつは、微動部分は縦方向をもう5mmほど長くするはずが、材料取りで間違えて
そのまま小さくしてしまいました。
スムーズにスライドしない主因だと思います。

 

ノギスは土台との間に調整板を挟んであって、
調整板をやすりで削って垂直を出してます。
垂直の確認は写真左の123ブロックにスコヤを載せて合わせましたが
マスと並べて背景に白い紙を置き、目見当でやってもそう違いはありませんでした。
普通にスライドさせて当て止めするだけでも、繰り返し精度は最小測定単位以下(1/100以下)でした。(当然といえば当然ですが)

傾きによる影響をいちおう計算しました。

デジタルハイトゲージ計算傾きによる誤差=L*(1-sinθ)  Lは読み値
スコヤの長さが100mmだったのでそれに合わせてL=100としました。
L=150の場合は誤差はL=100の1.5倍となります。

わかりやすさのためにスコヤ上端との隙間=L*cosθも求めました。

0.5度のズレ、すなわち89.5度では上端での隙間が0.87mmということになります。
隙間はぜんぜんそれ以下なので、測定誤差も0.0038以下と判断できます。

練習のつもりで作り始めたはずだったのですが
中途半端な状態のまま半年ほど転がしてありました。

測定用途でもそれなりに使えそうな結果となってよかったです。
(追記)
マイクロメーターやデジタルノギスと比較したとき、0.04ものズレが出ることがありました。
もちろん面内のいろんなところを測ったのですが…。
ハイトゲージを全てバラシて再調整しても変わらず。
結局、123ブロックの角に測定物を載せてハイトゲージで測ると同じ値が出ました。

考察
1.ハイトゲージでは測定物の面内の離れた最低3点がガラスに接触するのに対し、
マイクロメーターやノギスは狭い部分の接触である。
2.ガラス定盤自体の精度の悪さ

結論
ガラス定盤、ハイトゲージは測定用途にはあまり向いていないかな…。

 

お読みいただきましてありがとうございます。

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